優しい手①~戦国:石田三成~【完】
「三成さん!」
「そのまま真っ直ぐ走れ!」
…ようやく聴きたい声と出会えた。
幸村と三成が桃とすれ違いざまに兵を切り捨てて方向転換をすると、今度は幸村が桃の前に踊り出てクロを導きながら聴きしに勝る奮闘ぶりを見せ、
そして謙信の前へとたどり着いた。
「はぁ、はぁ…」
「桃…いけない子だね。城で待っていてと言ったのに」
「謙信さ、駄目…、信玄さんを殺しちゃ、ダメ…!ここで死ぬ人じゃないの。病気で…」
「桃」
強い声にびくりと身体が引きつる。
…蹄の音がして、謙信が馬を寄せてきたのがわかった。
「君の時代では起こりえないことがすでに沢山起こっているはずだ。私は…ここで信玄を倒す。君には悪いけれど、必ず成し遂げる」
「謙信さん…!」
――もう後戻りできないのはわかっていた。
このまま歴史が狂ったまま時が流れてしまえば、一体今の世界でどんなことが起こってしまうのだろうか?
…想像するだけで恐ろしい。
「ふむ、盲目の女子とな?やけに毛色の違う女子を見初めたものだな」
「君に桃の魅力はわかってもらわなくてもいいよ。あと別に気にしなくていいよ、君は今ここで私から倒されるんだから」
――とにかく目を見て真剣に訴えなくてはならない。
桃が両目を覆っている布に手をかけた。
皆が息を呑み、見守る中――
桃は久しぶりに、陽の光をその目で見た。
「まぶし…」
…見える。
久々の陽の光は目に染みて痛かったが、心配そうな顔でこちらを見ている謙信…
目が合うと無言で微笑んでくれた三成…
そしてものすごくかっこいい男が目を見張り、謙信によく似た寡黙そうな男が肩で息をついた。
「…景虎さん?景勝さん?」
「桃姫…これは可憐な…」
――目はまだ大きく開けることはできなかったが、ようやく桃の顔を見ることができた景勝と景虎は、気を引き締める。
必ず春日山城に無事に連れて帰らなければ、と。
「父上、どうぞご存分に」
「うん。桃…見ていて」
「駄目、謙信さん…!」
また、狂ってしまう――
「そのまま真っ直ぐ走れ!」
…ようやく聴きたい声と出会えた。
幸村と三成が桃とすれ違いざまに兵を切り捨てて方向転換をすると、今度は幸村が桃の前に踊り出てクロを導きながら聴きしに勝る奮闘ぶりを見せ、
そして謙信の前へとたどり着いた。
「はぁ、はぁ…」
「桃…いけない子だね。城で待っていてと言ったのに」
「謙信さ、駄目…、信玄さんを殺しちゃ、ダメ…!ここで死ぬ人じゃないの。病気で…」
「桃」
強い声にびくりと身体が引きつる。
…蹄の音がして、謙信が馬を寄せてきたのがわかった。
「君の時代では起こりえないことがすでに沢山起こっているはずだ。私は…ここで信玄を倒す。君には悪いけれど、必ず成し遂げる」
「謙信さん…!」
――もう後戻りできないのはわかっていた。
このまま歴史が狂ったまま時が流れてしまえば、一体今の世界でどんなことが起こってしまうのだろうか?
…想像するだけで恐ろしい。
「ふむ、盲目の女子とな?やけに毛色の違う女子を見初めたものだな」
「君に桃の魅力はわかってもらわなくてもいいよ。あと別に気にしなくていいよ、君は今ここで私から倒されるんだから」
――とにかく目を見て真剣に訴えなくてはならない。
桃が両目を覆っている布に手をかけた。
皆が息を呑み、見守る中――
桃は久しぶりに、陽の光をその目で見た。
「まぶし…」
…見える。
久々の陽の光は目に染みて痛かったが、心配そうな顔でこちらを見ている謙信…
目が合うと無言で微笑んでくれた三成…
そしてものすごくかっこいい男が目を見張り、謙信によく似た寡黙そうな男が肩で息をついた。
「…景虎さん?景勝さん?」
「桃姫…これは可憐な…」
――目はまだ大きく開けることはできなかったが、ようやく桃の顔を見ることができた景勝と景虎は、気を引き締める。
必ず春日山城に無事に連れて帰らなければ、と。
「父上、どうぞご存分に」
「うん。桃…見ていて」
「駄目、謙信さん…!」
また、狂ってしまう――