優しい手①~戦国:石田三成~【完】
「お館様!」
――謙信が前進しようとした時、謙信側からそう声を上げて数歩進み出た男が在った。
「おお…幸村か。達者に暮らしているようだな」
「お館様…俺は…」
この時信玄は…馬に乗っているのもやっとだった。
何もしていないのに息が上がり、家臣団が心配そうに見守る中目を細め、豪快に笑いながら刀を抜いた。
「さあいざ参らん。上杉謙信よ…わかっているな?」
その問いかけの意味は、謙信にしかわからなかった。
「いいよ。…終止符を打とう」
――幸村がまた叫び声を上げる。
その声はとてもせつなくて、とても悲しくて…幸村に馬を寄せると、手綱を握る手を握った。
「桃姫…俺は…身が引き裂かれる思いです…!どうすれば…!」
「…私も2人を止めたい。止めたいけど…」
――謙信の凛とした表情。
笑みは絶やさずとも、瞳には揺るがない自信がみなぎる信玄の表情。
「…いた…っ」
「桃、無理をするな」
ぐらりと身体が傾いで倒れ掛かった桃の身体を三成が支えつつ、両者動かない2人から視線を外さない。
…ものすごい緊迫感だ。
身体から青白い炎が見えるほどに闘志がにじみ出て、見守る家臣団も…雑兵も、一切の動きを止めていた。
そして、口火を切ったのは…信玄だった。
「上杉謙信よ、参る!」
両者同時に馬を走らせた。
蹄の音、土を巻き上げながらものすごい速さで接近し…
高く振り上げた刀が陽光を反射し…そして、すれ違いざま切り結んだ。
「殿!!」
兼続が叫び、幸村が顔を覆う。
陽の光が桃の弱った目にはまだ毒で、その瞬間ははっきりと捉えることができなかった。
目は痛かったが馬を止めて動かない謙信と信玄に目を凝らし、無事を願う。
「ふふ…上杉謙信、そなたはやはり、本物だ…」
ぐらりと身体が揺らぎ、馬から落下したのは…
「お館さまぁーーーー!!!」
見守っていた家臣団が叫び、嗚咽する。
隣の幸村が、何か呟いた。
それを聴きとることはできなかったが…走り出した。
誰も止めなかった。
――謙信が前進しようとした時、謙信側からそう声を上げて数歩進み出た男が在った。
「おお…幸村か。達者に暮らしているようだな」
「お館様…俺は…」
この時信玄は…馬に乗っているのもやっとだった。
何もしていないのに息が上がり、家臣団が心配そうに見守る中目を細め、豪快に笑いながら刀を抜いた。
「さあいざ参らん。上杉謙信よ…わかっているな?」
その問いかけの意味は、謙信にしかわからなかった。
「いいよ。…終止符を打とう」
――幸村がまた叫び声を上げる。
その声はとてもせつなくて、とても悲しくて…幸村に馬を寄せると、手綱を握る手を握った。
「桃姫…俺は…身が引き裂かれる思いです…!どうすれば…!」
「…私も2人を止めたい。止めたいけど…」
――謙信の凛とした表情。
笑みは絶やさずとも、瞳には揺るがない自信がみなぎる信玄の表情。
「…いた…っ」
「桃、無理をするな」
ぐらりと身体が傾いで倒れ掛かった桃の身体を三成が支えつつ、両者動かない2人から視線を外さない。
…ものすごい緊迫感だ。
身体から青白い炎が見えるほどに闘志がにじみ出て、見守る家臣団も…雑兵も、一切の動きを止めていた。
そして、口火を切ったのは…信玄だった。
「上杉謙信よ、参る!」
両者同時に馬を走らせた。
蹄の音、土を巻き上げながらものすごい速さで接近し…
高く振り上げた刀が陽光を反射し…そして、すれ違いざま切り結んだ。
「殿!!」
兼続が叫び、幸村が顔を覆う。
陽の光が桃の弱った目にはまだ毒で、その瞬間ははっきりと捉えることができなかった。
目は痛かったが馬を止めて動かない謙信と信玄に目を凝らし、無事を願う。
「ふふ…上杉謙信、そなたはやはり、本物だ…」
ぐらりと身体が揺らぎ、馬から落下したのは…
「お館さまぁーーーー!!!」
見守っていた家臣団が叫び、嗚咽する。
隣の幸村が、何か呟いた。
それを聴きとることはできなかったが…走り出した。
誰も止めなかった。