優しい手①~戦国:石田三成~【完】
背を向けた謙信と、手を繋がれてもなお幸村を振り返って別れを惜しむ桃と…
――信玄の傍から離れたくはないが…
桃とは、もっと離れたくない――
幸村は声を張り上げた。
「必ず戻って参ります!俺の主君は…上杉謙信公!これからもずっとです!」
「うん、ありがとう。ということで、高坂殿、頼んだよ」
「引き留めたりはいたしませぬ。幸村を今後もよろしくお願い申し上げます」
――さっきまで激しい戦いを興じていたのに――
そこここには兵の遺骸が転がり、桃は吐き気を抑えるのに必死になっていて、こんな惨状を見せたくなくて置いてきたというのに、桃は来てしまって…
三成が背後から桃の両目を再び布で覆った。
「三成さん…?」
「このまま春日山城へと飛ばそう。謙信公、いいな?」
「それでいいよ。桃…」
再び謙信が桃の右手を優しく取った。
「謙信さん…」
「君のおかげで迷うことなく信玄を斬れたよ。歴史は変わったかもしれないけど、君のせいじゃない。私が選んだことだから」
少し俯いた桃の左手を、三成が取った。
「戻ろう、桃。目が見えるようになってよかったな」
「うん…ありがと。私…居ても立ってもいられなかったの。会いたくて…たまらなかったの」
――俺に?
――私に?
「殿、宴は春日山城までお預けですな!」
朗々と兼続が喜びの声を上げ、それは波のように兵へと伝わり、轟々と響き渡る。
2人が手を離してくれず、桃が動揺していると…手を離したのは、謙信だった。
「ここは血なまぐさい。桃を一刻も早くここから連れ出そう」
「はっ!」
桃が振り返る。
その先には幸村が居て、桃を熱い眼差しで見つめていた。
「幸村さん、待ってるからね!絶対戻ってきてね!」
「…はい。あなた様の元へと必ず、戻ります」
小さすぎてその声は届かなかったが、幸村を信じている桃は三成にクロに乗せてもらい、川中島を後にする。
三成と謙信が馬上で目を合わせた。
両者とも、自分のために桃がここまで駆けてきたのだと信じている瞳をしていた。
――信玄の傍から離れたくはないが…
桃とは、もっと離れたくない――
幸村は声を張り上げた。
「必ず戻って参ります!俺の主君は…上杉謙信公!これからもずっとです!」
「うん、ありがとう。ということで、高坂殿、頼んだよ」
「引き留めたりはいたしませぬ。幸村を今後もよろしくお願い申し上げます」
――さっきまで激しい戦いを興じていたのに――
そこここには兵の遺骸が転がり、桃は吐き気を抑えるのに必死になっていて、こんな惨状を見せたくなくて置いてきたというのに、桃は来てしまって…
三成が背後から桃の両目を再び布で覆った。
「三成さん…?」
「このまま春日山城へと飛ばそう。謙信公、いいな?」
「それでいいよ。桃…」
再び謙信が桃の右手を優しく取った。
「謙信さん…」
「君のおかげで迷うことなく信玄を斬れたよ。歴史は変わったかもしれないけど、君のせいじゃない。私が選んだことだから」
少し俯いた桃の左手を、三成が取った。
「戻ろう、桃。目が見えるようになってよかったな」
「うん…ありがと。私…居ても立ってもいられなかったの。会いたくて…たまらなかったの」
――俺に?
――私に?
「殿、宴は春日山城までお預けですな!」
朗々と兼続が喜びの声を上げ、それは波のように兵へと伝わり、轟々と響き渡る。
2人が手を離してくれず、桃が動揺していると…手を離したのは、謙信だった。
「ここは血なまぐさい。桃を一刻も早くここから連れ出そう」
「はっ!」
桃が振り返る。
その先には幸村が居て、桃を熱い眼差しで見つめていた。
「幸村さん、待ってるからね!絶対戻ってきてね!」
「…はい。あなた様の元へと必ず、戻ります」
小さすぎてその声は届かなかったが、幸村を信じている桃は三成にクロに乗せてもらい、川中島を後にする。
三成と謙信が馬上で目を合わせた。
両者とも、自分のために桃がここまで駆けてきたのだと信じている瞳をしていた。