優しい手①~戦国:石田三成~【完】
桃が両目を手で覆っている間に、三成も一糸纏わぬ姿になった。


――荒ぶる感情はすぐに身体にも伝わっていて、桃の手を心臓の上に導くと、その激しい鼓動を聞かせるように押し付ける。


「俺もこんなに緊張している。桃…どんなにこの時を待ったことか」


「三成さ…、やだ、やだ…っ」


力強く抱きしめられて、首筋には雨のようなキス…

息ができなくなるほどの緊張…


桃に覆い被さり、見つめ合って激しい情熱を口に乗せた。



「愛している…桃、そなたしか見えぬ。この唇も、この身体も、瞳も…俺だけのものだ」


「三成さん、私も…私も好きだよ、あ、愛してるよ…」



――以前は“好き”としか言ってくれなかったのに、はじめて“愛してる”と言ってくれた。


死にたいほど嬉しくて、耳朶に口づけをしながら熱い息を吐いた。


「いいか?もう我慢できぬ、そなたの純潔、俺が頂く」


「うん、優しくしてね、三成さ……っ、あっ、いた…っ、あ、あっ」


三成の身体が入って来た。


――壊さないように、とてもゆっくり押し進めて、桃が痛みに目じりに涙を浮かべているのを知りつつも、最後まで身体を沈めていく。


桃も懸命に耐えていて、目じりの涙を拭ってやりながら幸せを噛み締めた。

最も弱点の耳にキスをして緊張を和らげて、唇を奪って潤んだ瞳が見えた時――


「三成さ…っ、三成さん…!」


「もう、平気か…?桃…」


桃の頬が紅潮して、その声が痛みからではないことを知り、すでに爆発してしまいそうな快感を堪えながら…心情を吐露した。


本当の、本音を。



「桃、この時代に留まってくれ…っ、俺の、俺の妻として、ここに…っ」


「みつ、なりさ…っ、私…、駄目、何も考え、られな…っ!」



三成に抱きしめられながら、幸せを感じる。


そんな中でも、もう1人の男の顔が…

脳裏をちらついていた。
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