優しい手①~戦国:石田三成~【完】
「清野さんだ!」
清野によって一時的にでも盲目にさせられたというのに、桃は謙信から身体を起こして駆け寄ろうとした。
「駄目だよ桃。清野のお仕置きについては後で私が話すからここに居なさい」
「え…、うん」
何だか聞いてはいけない話のような気がして言いよどむと、またぐっと腰を抱かれて、清野や家康に見せつけるようにべたべたと桃に触りまくる。
「で?清野をどうしろというの?」
「引き取って頂きたい。あなたのお傍で働きたいと泣いて懇願するので連れて来た次第でございます」
「え…清野さんがここで働くの?」
瞳を輝かせて嬉しさを隠せない桃の髪を撫で、こちらを睨んでいる三成を無視しながら謙信は清野に声をかけた。
「次に私の前に現れたらどうなるか、私は言ったよね?」
「…はい。斬られても構いません。私は…あなたのお傍で働けるのなら何でもいたします。どうか…どうかお傍に…」
――清野は謙信を好いていた。
それは越後に向かう道中の間に知ってはいたが、全てを捨ててここまでやって来たのだ。
…殺される覚悟で。
――謙信はすっと笑みを消した。
そして清野から情報を引き出して逆手に使おうと考え、肩を竦めた。
「別にいいよ、私の姫も喜ぶし、桃付きの女中ということでどう?」
「!はい、喜んで!」
「わあ、嬉しい!」
無邪気に喜んで抱き着いてきた桃の背中を撫でながら、笑みを取り戻した謙信は家康に向き直る。
「というわけで、君は清野を私に届けに来ただけなのかな?それと…」
言葉を切り…戦場で見せるような鬼気迫る表情を柔和な顔に浮かべ、
まるで毘沙門天が憑依したかのような殺気が一瞬身体から吹き出すと、家康も三成も清野も、じっとりと汗ばんだ。
「桃の親御も返してもらう。つまり私は降伏しない。攻めてくるならおいで。私が…全滅させてあげるよ」
――まだ戦ってもいないのに、家康は降伏したくなる位に畏怖を感じ、何とか頭を下げて、何とか振り絞った。
「…畏まりました。信長公に、そうお伝えしましょう」
「うん。十分準備をするように伝えておいて」
桃を守るために、戦う。
清野によって一時的にでも盲目にさせられたというのに、桃は謙信から身体を起こして駆け寄ろうとした。
「駄目だよ桃。清野のお仕置きについては後で私が話すからここに居なさい」
「え…、うん」
何だか聞いてはいけない話のような気がして言いよどむと、またぐっと腰を抱かれて、清野や家康に見せつけるようにべたべたと桃に触りまくる。
「で?清野をどうしろというの?」
「引き取って頂きたい。あなたのお傍で働きたいと泣いて懇願するので連れて来た次第でございます」
「え…清野さんがここで働くの?」
瞳を輝かせて嬉しさを隠せない桃の髪を撫で、こちらを睨んでいる三成を無視しながら謙信は清野に声をかけた。
「次に私の前に現れたらどうなるか、私は言ったよね?」
「…はい。斬られても構いません。私は…あなたのお傍で働けるのなら何でもいたします。どうか…どうかお傍に…」
――清野は謙信を好いていた。
それは越後に向かう道中の間に知ってはいたが、全てを捨ててここまでやって来たのだ。
…殺される覚悟で。
――謙信はすっと笑みを消した。
そして清野から情報を引き出して逆手に使おうと考え、肩を竦めた。
「別にいいよ、私の姫も喜ぶし、桃付きの女中ということでどう?」
「!はい、喜んで!」
「わあ、嬉しい!」
無邪気に喜んで抱き着いてきた桃の背中を撫でながら、笑みを取り戻した謙信は家康に向き直る。
「というわけで、君は清野を私に届けに来ただけなのかな?それと…」
言葉を切り…戦場で見せるような鬼気迫る表情を柔和な顔に浮かべ、
まるで毘沙門天が憑依したかのような殺気が一瞬身体から吹き出すと、家康も三成も清野も、じっとりと汗ばんだ。
「桃の親御も返してもらう。つまり私は降伏しない。攻めてくるならおいで。私が…全滅させてあげるよ」
――まだ戦ってもいないのに、家康は降伏したくなる位に畏怖を感じ、何とか頭を下げて、何とか振り絞った。
「…畏まりました。信長公に、そうお伝えしましょう」
「うん。十分準備をするように伝えておいて」
桃を守るために、戦う。