優しい手①~戦国:石田三成~【完】
関ヶ原の戦い。

もうこんなに歴史が狂ってしまっていてもなお起こってしまう大合戦。


本来は西軍と東軍に分かれ、西軍の総大将が石田三成、東軍が徳川家康で戦が行われたが…


織田軍が織田信長、上杉軍が上杉謙信を総大将に据えての関ヶ原の戦い。

不安で不安で仕方がない。


――三成は様子のおかしい桃を気にかけていたが、よもや自分が大きく関わっているとは知らず話しかけることができないでいて、

そのまま桃は謙信の隣の部屋の自室に籠もってしまい、夜を迎えた。


「桃」


「あ…謙信さん」


一人部屋の隅で膝を抱えて縮こまっていると謙信が入って来て、隣に腰を下ろした。


「怖いの?」


「うん…。だって…関ヶ原の戦いが…」


「君が言っている正しい時代の関ヶ原の戦いと今回のは違うみたいだけど、そんなに心配するのは私が戦に敗れると思っているからなのかなあ?」


長い前髪を細い指先でいじりながらちょっと拗ねたような口調になって、

同じように膝を抱えて背を丸めた謙信の仕草につい笑ってしまうと、肩で肩を小突いた。


「違うよ、そういうことじゃなくって…」


「ふふ、わかってるよ。ねえ桃、横にならない?」


「あ、う、うん」


ちょっと緊張してしまって俯くと、顎を取られて上向かせられた。


目じりの少し下がった柔和な美貌。

どんどん近付いて来て、唇が触れた。


「ん…」


「どこまでならお許しが出るのかな?それとも…どこまでもお許しをもらえるのかな?」


優しかったが絡まる舌は力強く、離れたと思ったら二人の間を光る糸が繋いで猛烈に恥ずかしくなる。


また謙信が自身の唇をぺろりと舐めて笑い、ただ震えているとひょいっと身体を抱き上げられて布団を敷いている部屋へと移動した。


「駄目、駄目…」


「駄目なら…他の女子で気を紛らわそうかな」


「!そ、それも駄目…。やだ、やめて…」


涙声になった桃を抱きしめながら横たわり、背中を撫でた。


「冗談だよ。冗談…」


「冗談でも…やめて…。私…我が儘だよね…?」


「ううん、そこも可愛いよ」


愛しい。
< 371 / 671 >

この作品をシェア

pagetop