優しい手①~戦国:石田三成~【完】
三成の部屋の前に座り、襖をぽすぽすと叩いた。


「桃です」


中から少し音がして緊張すると、ゆっくり襖が開いて三成が顔を出した。


――白い浴衣姿。


それが何かの覚悟に見えて、つい先日の自分もそうだったことを思い返した。


「入ってくれ」


「あ、う、うん」


浴衣から覗く鎖骨がものすごく綺麗で緊張しながら部屋の真ん中に座り、襖を閉めた三成に団子を見せた。


「お願いして作ってもらっちゃった!」


「そなた…先程決起会でたらふく食べていたではないか。まだ食うのか?」


茶化されて頬を膨らませると、串を1本手にして隣に座った三成の口元に持って行く。


「はい、あーんして」


「!?や、やめろ、自分で食う!」


「あーんしてくれなきゃやだ!全部私が食べちゃうんだから!」


押し問答した挙句、桃に押し切られる形となった三成は渋々口を開いて、顔を真っ赤にさせる。


「おいし?」


「ん…、美味いが…食った気がせぬ!」


団子を口に運ぶと的を外して餡子が口の端についてしまい、手で拭おうとしたが三成が上体を傾けてきて餡子をぺろっと舐めた。


「あ…、ご、ごめんなさい」


「…今宵は、優しくしてやりたい。しばらく会えぬのだから、朝までずっとだ。…いいか?」


――朝までずっと…

無性に恥ずかしくなって俯くと、ひょいと身体を持ち上げられて隣の続き部屋へと移動しながら、深い口づけを交わした。


「必ず親御を連れて帰って来る。心配するな」


床に下ろされると見つめ合ったままゆっくり帯を外されて、もう桃は何も抵抗せずにされるがままになっていた。


「今日は大人しいな。“駄目”とは言わぬのか?」


「言わないよ…だってしばらく会えない…。三成さんにも…謙信さんにも……」


――謙信の名が出ることに関してはもう不平を言うのはやめた。

仕方ない。

2人を見ていれば、何かで繋がっているのは手に取るようにわかるから――


お互い浴衣を脱いで一糸纏わぬ姿になると、唇を重ねあって縺れ合って、身体を重ねた。


「みつ、なりさ…」


愛しい。

離したくない。
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