優しい手①~戦国:石田三成~【完】
「なに!?秀吉の軍が撤退を始めた!?」
大病を圧して自ら関が原に赴いたにも関わらず、軍のうちほとんどが秀吉の軍だったことで、織田の連合軍はパニックに陥っていた。
「何やら持病の腰痛が悪化したとか…。指揮を執ることもままならず、尾張へと軍が引き返す準備をはじめております」
――信長の瞳が真っ赤になり、重臣たちが恐れ戦いて退出する。
そんな中森蘭丸だけが傍に残り、声を潜めた。
「あの猿、何か勘付いたのでは…」
「それにしても儂の命を全うせぬとはあのたわけめが!儂が死んでもいいというのか!」
清州城を本陣に構えていた織田信長は、怒りに顎髭を震わせながら蘭丸に残った兵数を問うた。
「あとどの位残っている?」
「我が軍は1万少々。上杉の連合軍は…およそ5万」
「5万?!あ奴らめ、気でも狂ったか!?この第六天魔王の首を獲れるとでも本気で夢見ておったか!」
「殿、ここはひとまず退きましょう。戦場はあなた様の病を進行させてしまいます」
全身に回っている毒のせいで絶えず発熱している信長は…唇が切れて出血するほど噛み締めた後、蘭丸に命じた。
「…全軍撤退。尾張に戻ったら秀吉を呼び出せ!腰痛如きで音を上げおってからに!」
――その頃秀吉は本陣に戻り、官兵衛と共に三成の姿を屋敷内方々歩いて探し求めていた。
「三成!三成はどこにおる!?」
「ひ、秀吉様…」
――清正や正則の姿もなく、怖ず怖ずと声をかけてきたのは名も知らぬ男で、土下座したまま顔を上げない。
「おぬしは何じゃ?三成の居場所を知っておるのか?」
ずぶ濡れの男はようやく顔を上げて官兵衛の裾に縋り付くと、自身が見た光景を大声で訴えた。
「清正殿と正則殿が三成殿を…!!!」
「なに…っ!」
「刀で斬りつけ、崖に突き落としたのです!三成殿は…っ」
「そこへ案内せい!官兵衛、清正と正則を呼びつけろ!」
「はっ」
休む間もなく男を立たせると共に三成が突き落とされたという崖の下まで馬で駆けたが…その姿は、なかった。
だが…大量の血痕が残されていて、それは致命傷といえるレベルの出血だった。
大病を圧して自ら関が原に赴いたにも関わらず、軍のうちほとんどが秀吉の軍だったことで、織田の連合軍はパニックに陥っていた。
「何やら持病の腰痛が悪化したとか…。指揮を執ることもままならず、尾張へと軍が引き返す準備をはじめております」
――信長の瞳が真っ赤になり、重臣たちが恐れ戦いて退出する。
そんな中森蘭丸だけが傍に残り、声を潜めた。
「あの猿、何か勘付いたのでは…」
「それにしても儂の命を全うせぬとはあのたわけめが!儂が死んでもいいというのか!」
清州城を本陣に構えていた織田信長は、怒りに顎髭を震わせながら蘭丸に残った兵数を問うた。
「あとどの位残っている?」
「我が軍は1万少々。上杉の連合軍は…およそ5万」
「5万?!あ奴らめ、気でも狂ったか!?この第六天魔王の首を獲れるとでも本気で夢見ておったか!」
「殿、ここはひとまず退きましょう。戦場はあなた様の病を進行させてしまいます」
全身に回っている毒のせいで絶えず発熱している信長は…唇が切れて出血するほど噛み締めた後、蘭丸に命じた。
「…全軍撤退。尾張に戻ったら秀吉を呼び出せ!腰痛如きで音を上げおってからに!」
――その頃秀吉は本陣に戻り、官兵衛と共に三成の姿を屋敷内方々歩いて探し求めていた。
「三成!三成はどこにおる!?」
「ひ、秀吉様…」
――清正や正則の姿もなく、怖ず怖ずと声をかけてきたのは名も知らぬ男で、土下座したまま顔を上げない。
「おぬしは何じゃ?三成の居場所を知っておるのか?」
ずぶ濡れの男はようやく顔を上げて官兵衛の裾に縋り付くと、自身が見た光景を大声で訴えた。
「清正殿と正則殿が三成殿を…!!!」
「なに…っ!」
「刀で斬りつけ、崖に突き落としたのです!三成殿は…っ」
「そこへ案内せい!官兵衛、清正と正則を呼びつけろ!」
「はっ」
休む間もなく男を立たせると共に三成が突き落とされたという崖の下まで馬で駆けたが…その姿は、なかった。
だが…大量の血痕が残されていて、それは致命傷といえるレベルの出血だった。