優しい手①~戦国:石田三成~【完】
謙信が部屋に戻ると…幸村は桃から遠く離れた位置で背筋を正して座っていた。
「よくお休みになっておられます」
「ご苦労様。もういいよ」
「はっ」
幸村が足早に出て行く。
襖が閉まるまで待って、その後枕元に座ると桃の髪を撫でた。
「ごめんね、試させてもらうよ。君が本当にどう思っているのか…私も知りたいから」
そしてまた腰を上げて自室に戻り、久々に謙信は一人で朝まで眠った。
――だが翌朝。
「謙信さん…」
「……ん…?あれ?桃…」
「どうして一緒に寝てくれなかったの?朝隣に居なかったから…」
気付いたら桃が蒲団に潜り込んでいて、詰るように胸を叩いて来る。
まさかの出来事だったので目を見張ったが…桃がとても寂しそうな表情で抱き着いてきて、謙信の昨晩の決意がもろくも崩れそうになる。
「ふふ、甘えん坊さんだね。ちょっと1人でお堂に籠もりたいから行って来るね」
「え、1人で…?私は行っちゃ駄目なの?」
「うん、ごめんね。君は幸村たちと一緒に朝餉を先に食べてていいよ」
「ううん、待ってる」
笑いかけてきた桃の髪を撫でて起き上がり、頬をかきながら堂へと向かう。
――桃を試して一体どうなるのか。
それは自己満足でしかないのではないだろうか?
…三成は自身を信じて疑っていなかった。
「私だってそう在りたいけどね。身から出た錆ってやつかな」
長い前髪が表情を隠し、毘沙門天の待つお堂へと入ると座禅と印を組み、瞳を閉じる。
心理との対話。
宇宙との対話。
毘沙門天との対話。
集中しているうちにみるみる意識が薄れていって、全てと一体になった気がした。
そうしているうちに数時間が経ってしまい、入り口から声がかかった。
「もうお昼になるよ?身体壊しちゃうからご飯食べてほしいの。私が用意するからお願い、食べて」
親身になってくれる愛しい姫のために腰を上げてお堂から出ると、桃に触れずに笑いかけながら自室へと向かいながら首を鳴らした。
「じゃあ、ありがたく頂くよ。君も食べたら?」
嬉しそうに笑った桃に、笑い返した。
「よくお休みになっておられます」
「ご苦労様。もういいよ」
「はっ」
幸村が足早に出て行く。
襖が閉まるまで待って、その後枕元に座ると桃の髪を撫でた。
「ごめんね、試させてもらうよ。君が本当にどう思っているのか…私も知りたいから」
そしてまた腰を上げて自室に戻り、久々に謙信は一人で朝まで眠った。
――だが翌朝。
「謙信さん…」
「……ん…?あれ?桃…」
「どうして一緒に寝てくれなかったの?朝隣に居なかったから…」
気付いたら桃が蒲団に潜り込んでいて、詰るように胸を叩いて来る。
まさかの出来事だったので目を見張ったが…桃がとても寂しそうな表情で抱き着いてきて、謙信の昨晩の決意がもろくも崩れそうになる。
「ふふ、甘えん坊さんだね。ちょっと1人でお堂に籠もりたいから行って来るね」
「え、1人で…?私は行っちゃ駄目なの?」
「うん、ごめんね。君は幸村たちと一緒に朝餉を先に食べてていいよ」
「ううん、待ってる」
笑いかけてきた桃の髪を撫でて起き上がり、頬をかきながら堂へと向かう。
――桃を試して一体どうなるのか。
それは自己満足でしかないのではないだろうか?
…三成は自身を信じて疑っていなかった。
「私だってそう在りたいけどね。身から出た錆ってやつかな」
長い前髪が表情を隠し、毘沙門天の待つお堂へと入ると座禅と印を組み、瞳を閉じる。
心理との対話。
宇宙との対話。
毘沙門天との対話。
集中しているうちにみるみる意識が薄れていって、全てと一体になった気がした。
そうしているうちに数時間が経ってしまい、入り口から声がかかった。
「もうお昼になるよ?身体壊しちゃうからご飯食べてほしいの。私が用意するからお願い、食べて」
親身になってくれる愛しい姫のために腰を上げてお堂から出ると、桃に触れずに笑いかけながら自室へと向かいながら首を鳴らした。
「じゃあ、ありがたく頂くよ。君も食べたら?」
嬉しそうに笑った桃に、笑い返した。