優しい手①~戦国:石田三成~【完】
床に移動して腕枕をしてくれて限りなくほっとしながら目を閉じると、謙信が人差し指で唇に触れてきて、少し拗ねたような声を上げた。


「ねえ、私にもしてほしいな」


「え?何を?」


「政宗の頬に“きっす”をしてたでしょ?あの光景には妬いたよ。してくれないと拗ねるからね」


時々こうやって拗ねては桃を困らせる名人の謙信からじっと見つめられるとそのやわらかい眼差しに吸い込まれそうになって、ちゅっと頬にキスをした。


「そう、これこれ」


「謙信さん、あのね、私もう…その…三成さんと謙信さんとはもうエッチしないって三成さんと約束して…」


「夜伽のこと?そうなの?私とそんな約束したっけ?してないよね?なら私に守る義理はない、と言いたい所だけど。君が決めたのならそうするよ」


ふいっと背中を向けられて、心細さに謙信の身体に抱き着くと乳香のふわりとした香りに包まれた。


「…さっき…三成さんとエッチしたの」


「…そう。どうしてそんな報告を私にするの?」


「こんな軽い女、いやでしょ?もうしたくないでしょ?だからしないの。お願い謙信さん。わかって…」


――腰に回した手をぎゅっと握ってくれて、いつもののんびりした声ではなく、真剣味のこもった静かな声が桃の心を打った。


「私は正室も側室も取らないよ。君と出会って、君を知ってしまったから無理なんだ。そこだけは史実通りにしてあげる」


「…謙信さん…触りたいな。触ってい?」


「どうぞ。でも私からは駄目なんでしょ?それとも触る位ならいいの?」


身体をこちらに向けてくれて、浴衣の胸元から覗く白い胸に顔を埋めた。


愛をこめて抱きしめられて、顔を上げるとすぐに唇が重なってきた。


重なってはすぐに離れて、それを繰り返されて唇の音をわざと鳴らしながら身体を唇が這う。


「駄目だよ、謙信さ…」


「途中まで。これ以上進みたかったら言って。君の望むようにしてあげる」


――途中まででもいい。


触れてほしい。

愛してほしい。


三成にも謙信にも、離れて行ってほしくない。


一緒に居たいのに――

どうして、こんなことになってしまったんだろう…?
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