優しい手①~戦国:石田三成~【完】
“脱げ”と言いつつ、帯を外したのは三成の手だった。


「も、や、駄目…っ」


「最後までしなければいいのだろう?桃、顔をこっちに向けろ」


――三成の顔を見てしまうと最後まで許してしまいそうになるので顔を背けていると、頬を両手で包まれて無理矢理目を合させられて、今度は優しく唇が重なってきた。

長い間、ついばむように何度もしてきて、だんだん息が乱れてきた桃は身体を隠すのも忘れて息を上げる。


「可愛いぞ、桃…」


「や、そんなこと、言わな…」


瞳が…綺麗だった。

思わず見惚れてしまうと、大きな手が身体を這った。


「駄目…っ!」


「何が駄目だ?桃…ずっと触れていたい…」


優しく動く長い指。

焦らすように時々離れて、ずっと表情を窺っている三成は異常に優しく、涙目になりながら、頷く。


「こんなもの、脱いでしまえ」


脱がされそうになって、それだけは抵抗して胸元を押さえた。


「三成さ…、駄目だってばっ」


「そなたを抱きたい」


「駄目、駄目…っ、お願い、駄目なの…!」


「…まあいい。そなたの艶やかな表情を見るだけでとりあえず満足しよう」


「三成さ……駄目…っ!」


意識が真っ白になってぐったりとなった桃の身体をぎゅうっと抱きしめた。


「…愛している。ずっとだ」


「………私も…愛してるよ…」


――三成が儚く笑って離れて行く。


天守閣から出て行くと、浴衣を着て座り直し、三成の優しさに触れて胸が痛くなった。


「三成さん…」


「呼ぶ名前が違うんじゃない?」


「!け、謙信さん…」


天守閣の主、上杉謙信がようやく軍議から解放されて愛しの姫の顔を見にやって来た。


肩を叩きながら隣にゆっくりと腰かけて、秋月を見上げる。


「良い夜だね。君の息は上がってるみたいだけど」


「あ…っ、これは…」


「いや、責めてるんじゃないよ。今日は三成と一緒に寝る?私は別にそれでも…」


「う、ううん、謙信さんと寝る!」


ふわっと微笑んだ。

花が開くように…

真っ白の花弁の大きな花が開くように――
< 511 / 671 >

この作品をシェア

pagetop