優しい手①~戦国:石田三成~【完】
謙信の綺麗な唇が全身を撫でて行って息も上がって声も上がってしまう。


「桃…可愛いよ、もっと鳴いておくれ」


「駄目、謙信さん、駄目だよ…っ!」


“やめて”と言いつつ強く止めることがいつもできない。

謙信とは本当に何かでつながっている気がして、その“何か”を壊したくなくて、身体も心も許してしまう。


が…


“謙信と同じ条件に”


三成が再三言っていた言葉がよみがえり、桃は謙信の頬を包み込むとはたと瞳を見据えて訴えた。


「三成さんともしないし、謙信さんともしないって決めたの。お願い、私の決めたことを守らせて。お願い…」


「しないっていうのは最後までってこと?君から誘ったのにお預けをさせるつもり?これは…参ったなあ」


まだ謙信の瞳に炎が燈る前だったのでかろうじて止めることには成功したようだったが、自分の信念の無さにまた落ち込みながら脱がされた浴衣を引き寄せて身体を隠した。


「ごめんね…。とっても好きなのに…謙信さんとひとつになりたいのに…このままじゃ私が駄目になっちゃうから…お願い、謙信さん」


隣で頬杖をついてちょっとふてくされた表情をしていた謙信は腕を伸ばして肩を少し超える長さにまで伸びた桃の髪に触れながら小さくため息をついた。


「わかったよ、君の言う通りにしよう。じゃあ、そういうことで私はまだ身体が熱を持っているからどこかで紛らわしてこよう。君は寝ていていいよ」


「…え…?紛らわすって…」


「相手をしてくれる女子は捜そうと思えばすぐに見つかるから」


「や、やだ、謙信さん、やだ!」


起き上がろうとする謙信の細い身体に抱き着いて床に押し付けると、必死になってそれだけは引き留めた。


「いやなの、やめて!いやなの…。謙信さんとエッチできないのに…お願い、他の女の人とはしないで…」


「でも君が居なくなったら私は一生女子を抱けないってこと?」


――かまをかけられていることはわかっているのに、謙信が離れていくことは絶対にいやで、縋り付くような瞳で見つめると…


ふっと苦笑して、またごろんと横になった。


「全く…我が儘な姫だねえ」


どこまでも優しい男。
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