優しい手①~戦国:石田三成~【完】
結局それ以上のことはなく、いつものように朝まで同じ床で抱きしめてもらいながら眠って、目を覚ますとすでに謙信は隣に居なくて、毘沙門堂に籠もっていた。


走りやすい短パンとTシャツ姿に着替えると三成と幸村を起こしに行く。

…とはいっても2人共いつから起きているのかと思うほど早起きなので、三成の部屋を訪ねるとやはり起きていて、幸村はきっとクロの世話をしに行っているはずだ。


「三成さん、おはよ」


「ああ。そこに座っていてくれ」


何か重要文書を書いているようで真剣な顔をして机に向かっている三成の隣にぴったりくっついて座ると、僅かに顔が赤くなっているのが可愛くて、ついからかってしまった。


「三成さん、熱でもあるの?顔が赤いよ?」


「…そ、そんなことはない!黙ってそこに居ろ!」


くすくす笑いながら文書を覗き込んだが、秀吉宛ての機密文書でありながら桃に見られても構わない内容だったので、三成は桃を止めなかった。


「で、謙信とは何もなかっただろうな?」


「え、う、うん、エッチはしてないよ」


「…では途中までしたという解釈でいいんだな?」


筆を置いて向かい合った三成。

…時々とてつもなくセクシーになる時があって、今度は桃の顔が真っ赤になって三成の胸を押した。


「馬鹿っ、朝から変なこと聴かないで!」


「もう1度言っておくが、謙信と同じ条件にしろ。謙信がそなたを抱けば、俺もそなたを抱く。誓え」


両手を繋がれて、その優しい手に見入りながら頷いた。


「うん、誓うよ。ね、早く行こうよ。幸村さんが待ちくたびれてるかも」


小走りに部屋を出て庭へと出ると、幸村よりも早く桃が来たことに気付いたクロが駆け寄ってきた。


「クロちゃん、幸村さん、おはよ!」


「桃姫、おはようございます。……」


「?幸村さん、どうしたの?」


「は、い、いえ、失礼いたしました!」


…つい桃の笑顔に見惚れていた幸村が口元を隠しながら背を向けた。


…眠っている桃に口づけをしたあの夜。

男として心底桃を欲している自身を止めるのに精一杯だった。


帰ってほしくない。

ずっと傍で守っていきたい――
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