優しい手①~戦国:石田三成~【完】
翌朝桃は早くから起きて台所に立っていた。
いつものように幸村も傍に居て、桃が何をしようとしているのかを知っていて、頬を緩めた。
「景虎様にお食事を?これはきっとお喜びになられるでしょう」
「うん、幸村さんの分もあるからね!」
「ありがたき幸せ!」
幸村が自分を女として好いてくれていることは重々承知だったが、何故か桃はそれが重荷ではなく、桃の部屋を覗いて居ないことで捜し歩いていた元親がやって来ると、ぎくっとなって頭を下げた。
「元親さんおはようございます。今ご飯作ってるしお着物が汚れると大変だから部屋で待っててください」
「いえ、何かお手伝いいたしましょう」
「だ、駄目!トラちゃんのご飯は私が全部作りたいんです。幸村さん、元親さんをお願いしてもいい?」
「御意!」
元親の首根っこを掴む勢いで台所から引きずり出され、ほっとして作業に没頭していると…
「美味しそうだね」
「きゃっ!?も、もう謙信さんっ、気配を殺して後ろに立たないでっ!」
「元親が君を襲いそうな勢いでここに入って行くのが見えたから来てみたんだけど…昨晩は君が居なくて寂しかったよ」
耳元で囁かれて包丁を握る手元が狂いそうになり、真っ赤になりながら必死で漬物を切る手元に集中した。
「三成さんが一緒に眠ってくれたの。あの人…ふふふ、ほんと照れ屋さんだよね」
――謙信が何も言わないので振り向くと子供のように唇を尖らせ、腕を組んで壁に寄りかかっていた。
「仲が良いのは知ってるけど、君は出会う順番を間違えただけで、本当は私の方に惹かれているはずなんだけどなあ」
「な、なに言ってるの!?自意識過剰だよ、ほら、あっち行ってて!」
「本当にそう思ってる?ふふ、まあいっか」
――今回は本気で戦う。
永遠の好敵手だった信玄がこの世を去り、情熱を傾ける戦相手が居なかった。
平和が良いと言いながらも武将としての血は戦を求める。
また上杉謙信も、然り。
桃の憂いを払ってやるために、全力を尽くすのだ。
「…そろそろ来るね」
織田軍勢が――
いつものように幸村も傍に居て、桃が何をしようとしているのかを知っていて、頬を緩めた。
「景虎様にお食事を?これはきっとお喜びになられるでしょう」
「うん、幸村さんの分もあるからね!」
「ありがたき幸せ!」
幸村が自分を女として好いてくれていることは重々承知だったが、何故か桃はそれが重荷ではなく、桃の部屋を覗いて居ないことで捜し歩いていた元親がやって来ると、ぎくっとなって頭を下げた。
「元親さんおはようございます。今ご飯作ってるしお着物が汚れると大変だから部屋で待っててください」
「いえ、何かお手伝いいたしましょう」
「だ、駄目!トラちゃんのご飯は私が全部作りたいんです。幸村さん、元親さんをお願いしてもいい?」
「御意!」
元親の首根っこを掴む勢いで台所から引きずり出され、ほっとして作業に没頭していると…
「美味しそうだね」
「きゃっ!?も、もう謙信さんっ、気配を殺して後ろに立たないでっ!」
「元親が君を襲いそうな勢いでここに入って行くのが見えたから来てみたんだけど…昨晩は君が居なくて寂しかったよ」
耳元で囁かれて包丁を握る手元が狂いそうになり、真っ赤になりながら必死で漬物を切る手元に集中した。
「三成さんが一緒に眠ってくれたの。あの人…ふふふ、ほんと照れ屋さんだよね」
――謙信が何も言わないので振り向くと子供のように唇を尖らせ、腕を組んで壁に寄りかかっていた。
「仲が良いのは知ってるけど、君は出会う順番を間違えただけで、本当は私の方に惹かれているはずなんだけどなあ」
「な、なに言ってるの!?自意識過剰だよ、ほら、あっち行ってて!」
「本当にそう思ってる?ふふ、まあいっか」
――今回は本気で戦う。
永遠の好敵手だった信玄がこの世を去り、情熱を傾ける戦相手が居なかった。
平和が良いと言いながらも武将としての血は戦を求める。
また上杉謙信も、然り。
桃の憂いを払ってやるために、全力を尽くすのだ。
「…そろそろ来るね」
織田軍勢が――