優しい手①~戦国:石田三成~【完】
傷ついていないといえば嘘になるが、もう決めたこと。


三成が気を使って大広間から自室へと連れて行ってくれると、ふうと息をついた。


「大丈夫か?」


「え、何が?大丈夫だよ、私は大丈夫…」


にこにこ笑うと、三成はじっと押し黙っていたが無言で薬湯をずいと差し出した。


「飲め。飲んですぐ横になれ」


「だから大丈夫だってば。第一赤ちゃんできてるかどうかもわかんないのに」


「体調が悪いのは事実だ。そなたが休んでいないと俺たちの気も休まらぬ」


相変わらずぶっきらぼうな口調だが、瞳は気遣いの光に溢れていて、桃はまたもやその場でがばっとセーラー服を脱いだ。


「!な、何を…!」


「この格好じゃ寝れないし。三成さん、そこの浴衣取ってくれる?」


「む…、あ、ああ、これか」


伏し目がちになりながら畳んでいた浴衣を手渡し、堂々と目の前で着替えをする桃をまたついがみがみと叱った。


「女子がそんなことでは駄目だ。第一女子とは慎ましやかで夫の後ろを…」


「はいはいわかってますって。でも私の時代じゃ女の子の方が強いんだから。草食系な男の子なんてつまんないよ」


「草食系??よくわからぬがとりあえず早く横になれ」


掛け布団を捲って待ち構える三成に頬を膨らませると言われた通り横になると掛け布団をかけてくれた。


「明日…行っちゃうの?」


「そなたも一緒だ。必ず守ってやるから安心しろ」


「うん…。いつあっちに戻れるようになるかもわかんないもんね。信長さんか…お母さんたちをずっと監禁してた人…」


桃の時代でも信長はヒール役として取り上げられることもあるが、英雄として取り上げられることもある。


だが恐ろしい想像しかできない。

自分を手に入れて一体何をしようというのか?

それとも石が目当てなのか?

どちらにしろ捕えられてしまったら、酷い目に遭うだろう。


「怖いな…」


「…俺や謙信を信用せぬのか?そなたは軍神を手玉に取っているのだぞ、もっと掌で転がしてあ奴のやる気を引き出せ」


「ふふふふっ、三成さんひどい!」


ようやく心からの笑みが出た。
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