契約恋愛~思い出に溺れて~


「デート?」

「ああ、まあ。この子が娘さん? へぇ、初めて見た。可愛いね」


英治くんは、一緒にいる彼女のことはサラリとながし、紗優に目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

紗優は一瞬驚いたように、目をパチクリさせる。


「おじさん、だれ?」

「おじさんは、ママのお友達。紗優ちゃんだっけ。こんにちは」

「こんにちは。ねぇ、イルカのショーがはじまるの。サユみたいから」

「ああ。そうだね。もうすぐ始まるねぇ」


英治くんは紗優の頭を撫でてにこにこしている。
紗優はイルカが気になるのか、もう水槽の方に目をやっている。

私は、そのことよりも、放っておかれてる彼女さんの方が心配だった。


「あの、英治くん。紗優の事はいいから。ほら、デートでしょ。楽しんできて」

「あー、紗彩ちゃん、今日の夜って暇?」

「はぁ? 忙しいです。見れば分かるでしょう。今日は家族サービスデーよ」


彼女を前になんてことを言いだすのだろう。
英治くんは気が回るようでいて、この辺りは無頓着なのかしら。

< 100 / 544 >

この作品をシェア

pagetop