契約恋愛~思い出に溺れて~
私は電話を切り、両親の部屋のドアをノックした。
まだ寝ていなかったのか、元気そうな顔で母が出てくる。
「母さん、ごめん。ちょっと呼び出されて。
もう紗優は寝てるんだけど、もし起きたら見てやってくれる?」
「ああいいよ。デートかい?」
ぎくりとして、息をのむ。
「いや。あの。そういう訳じゃ」
「いいんだよ。まだ若いんだから再婚だって考えないと。その人はちゃんと働いてる人なんだろ?」
「あのね、お母さん」
「あの男みたいな無職の男じゃなきゃなんでもいいよ」
ユウのこと、そんな風に言わないで。
反発心を口に出す事は出来なかった。
私は、両親に世話になり過ぎている。
「……ごめん。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
なんとなく追われるように家を出た。
本当は先に電話でタクシーを頼みたかったが仕方ない。
大通りまで歩いてタクシーを拾った。