契約恋愛~思い出に溺れて~
「心配してるわよ」
駄目押しのように言うと、彼女は視線を外して吐き出すように答えた。
「私、もう心配されるような年でも無いです」
「そうね。25歳になったんだっけ?」
「はい」
やっぱりこの子は、達雄のことが好きなんだ。
直感で、そう思った。
恋人がいても夜中には家に帰る。
兄の恋人である私に対して、対抗心を隠しきれない。
分かりやすいじゃない、達雄。
どうしてあなたは一線を越えようとしないの。
あなたの好きな人は生きてるのに。
私みたいに、もう二度と手の届かないところにいる訳じゃないのに。
みすみす手を離してしまったら後悔するんじゃないの?