契約恋愛~思い出に溺れて~
社内会議が終わったのは、21時10分前だった。
そのまますぐ鞄を持ち帰宅する人もいれば、
私みたいにメールをチェックしてから帰る人もいる。
隣の部署を見れば、
納期が近いのかまだまだ働く様子でパンにかじりついている人もいた。
この仕事を続けていれば、やっぱり時間通りに終わるなんてことは殆どない。
それだけ紗優に寂しい思いをさせているのは分かるけど、
収入が無ければ生きてはいけないし、
今更自分に他の仕事ができるとも思えなかった。
今できることを片づけて会社を出た時はもう21時半近かった。
電車に乗りいつものバーについたのは22時少し前だ。
「お待たせ」
「紗彩?」
「や、紗彩ちゃん、待ってたよ!」
息を切らせて店に入った私に対して、
達雄は驚いた顔をし、英治くんはにこやかに出迎えた。