契約恋愛~思い出に溺れて~


英治くんはテキパキとオーナーを呼びつけ、飲み物と軽い食事を頼んだ。
このバーで食事なんてと思ったけど、オーナーは快く引き受けてカウンターの方へと戻っていった。

私は達雄をじっと見つめながら、本題に入る。


「綾乃ちゃんと何にもなかったの?」

「……」


達雄がビクリと体を揺らす。

この人も分かりやすい。
何があったか知らないけど、何かがあったのは一目瞭然だ。


英治くんが頼んでくれたカクテルが先にきて、私は喉をうるおしたくてそれを一口飲んだ。

ふうと息をつくと、達雄がためらいがちに話し始める。


「綾乃、出て行ったんだ」

「どうして?」


驚いた。
あの流れで、どうしてそんなことになっちゃったの?


< 149 / 544 >

この作品をシェア

pagetop