契約恋愛~思い出に溺れて~
英治くんはテキパキとオーナーを呼びつけ、飲み物と軽い食事を頼んだ。
このバーで食事なんてと思ったけど、オーナーは快く引き受けてカウンターの方へと戻っていった。
私は達雄をじっと見つめながら、本題に入る。
「綾乃ちゃんと何にもなかったの?」
「……」
達雄がビクリと体を揺らす。
この人も分かりやすい。
何があったか知らないけど、何かがあったのは一目瞭然だ。
英治くんが頼んでくれたカクテルが先にきて、私は喉をうるおしたくてそれを一口飲んだ。
ふうと息をつくと、達雄がためらいがちに話し始める。
「綾乃、出て行ったんだ」
「どうして?」
驚いた。
あの流れで、どうしてそんなことになっちゃったの?