契約恋愛~思い出に溺れて~
「実は……」
達雄が口ごもってるうちに、オーナーがサンドイッチを持ってきてくれた。
こんなのメニューにあったかしら。
そんな疑問もわき上がったけれど、今は達雄の話の方が大事だ。
私が2、3個サンドイッチをつまみながら、促すように視線を向けると、
彼は観念したようにポツリポツリと話し始めた。
酔って寝ぼけて、綾乃ちゃんを押し倒してしまったこと。
途中で気がついて離れたら、綾乃ちゃんに告白されてしまったこと。
そのまま、自分のものにしようと思ったのに、どうしてもできなかったということ。
そして、ショックを受けた綾乃ちゃんが彼の元へ行ってしまったこと。
悲壮な顔で、達雄が話す。
私は綾乃ちゃんが告白したことに感心しながらも、
達雄の態度を不甲斐ないとも思っていた。
普通自分の恋人のこんな話をこういう気分では聞けないだろう。
私にとってはやっぱり、達雄は『ユウの代わり』でしかない。
それを改めて、実感する。