契約恋愛~思い出に溺れて~

「別れるかどうかなんてわからないじゃないの」

「信じられないんだよ。
これまでに、心の底から好きだと思った人はいた。だけど、簡単に別れを告げられた。
永遠なんてないんだ。……恋愛関係になればいつかは失ってしまう。

でも家族なら無くならない。綾乃が誰と結婚しようと、俺は死ぬまで綾乃の兄貴でいられる」

「自分の気持ちを殺してまで?」

「……」

「綾乃ちゃんの気持ちを壊してまで?」

「紗彩ちゃん?」


私の語気が荒くなっているのに気づいて、英治くんがこっちを向いた。

胸の奥で何かが渦を巻いてるみたいに、気持ちが落ち着かない。


だって。

バカみたいじゃないの。

いつかを恐れて今を台無しにするの?


そんなことをしているうちに、相手が死んでしまったらどうするの?

失ってしまってからじゃ何も手に入らない。

本当に大切なら、失くさないように努力し続ければいいじゃないの。


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