契約恋愛~思い出に溺れて~
ユウが死ぬ前、そろそろ2人目を作ろうかって話をしてた。
だけど仕事がきつかったから、もう1年待ってと私が言った。
あんなこと言わなければ良かった。
そうしたら少なくとも紗優は今より寂しくなかったかも知れない。
兄弟がいれば、少しは慰められたかも知れない。
今となってはもう、何をどうやったって、手に入れることは出来ない。
ユウはいないんだから。
どうやっても、あの時をやり直すことなんてできない。
失ってからじゃ、遅い。
「そんなの、おかしいじゃない」
そう呟いて、拳を握りしめる。
こみ上げてくるこの感情は何なんだろう。
本当は、おかしいのは私の方だ。
達雄は私の恋人なのに。
こんなことを言うのも、
こんな風に思えてしまうことも、おかしい。
歪んでいる。
『契約恋愛』なんて、やっぱりどこかがおかしいんだ。