契約恋愛~思い出に溺れて~

紗優は嬉しそうにコートを羽織ってくる。


「わーい。ママとおさんぽ」

「寒くない? 行こう」


並んで一緒に歩く。

今日は快晴だった。

空気はキンと冷えていて、吐きだされる白い息が、繭玉みたいにこぼれては空気に溶けていく。


とりあえず近くの公園を目指す。

自宅から100メートルほど歩いたところに、見慣れない車が止まっていた。

ホワイトのワンボックスカー。
この辺の人が乗ってる車ではないと思うのだけど。

そう思ってさりげなく中を覗いてみると、予想外な人の顔が見えた。


「……え」

「ママ?」


中にいた人物も私に気がつくとにやりと笑って、車から降りた。


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