契約恋愛~思い出に溺れて~
「や、紗彩ちゃん」
「英治くん」
「あ、この間のおじちゃん」
英治くんは、いつものスーツ姿とはちがう、セーターにジャケットを羽織ったラフな服装で、見慣れない姿に少しドキッとした。
「どうして」
「達雄に家の場所聞いて。今電話かけようと思ってたとこ」
「何か用?」
「うん。まあね」
そういった後、英治くんはすぐにしゃがんで紗優と顔を向き合わせる。
「こんにちは。紗優ちゃん」
「こんにちは」
「おじちゃんと少し遊ばない? 今日だけ、パパの代わり」
「えっ……」
紗優は驚いたように目を見開いた。
でも、少しだけ口が嬉しそうに緩んだ。
見なければ良かったのに、私はばっちりそれを見てしまった。