契約恋愛~思い出に溺れて~
ついたのは、たまに行くようなファミリーレストランじゃなくて、もう少し高級そうなお店だった。
「ここのハンバーグ上手いよ。ただ、子供メニューがあったかなー」
そう言って、英治くんは先に立って歩いていく。
どことなくレトロな色調の店内。
お肉が焼けるいい匂いが全体に漂っている。
「おなかすいたー」
パタパタと足をばたつかせながら、紗優がメニューを見る。
「紗優、今日落ち着きないよ」
「だって。おじちゃんといっしょだもん」
「はは。楽しみにしてくれてたの?」
「うん! すっごくすっごくたのしみだった!!」
英治くんも嬉しそうに笑う。
素直に感情を表現できる紗優が羨ましい。
素直に言葉は、その鋭さを保ったまま、まっすぐに彼に伝わって行く。
今の私には、出来ないことだ。