契約恋愛~思い出に溺れて~
「ママー」
そこへ、紗優が戻ってきて、私と英治くんの会話は途切れた。
畳みかけるように注文したハンバーグもやってきて、私たちの思考はそちらに移ってしまった。
肉厚のあるハンバーグはナイフを入れると肉汁がジワリと出てくる。
かかっているデミグラスソースがまたおいしくて。
夢中になって食べていた時、ふと、紗優のお皿の端にブロッコリーが除けてあるのが目に付いた。
「紗優、野菜も食べないと。朝もホウレンソウ残したでしょう」
「えー、だって」
「だってじゃなくて。お肉とご飯だけじゃ駄目なんだよ? バランスよく食べないと」
「そんなのしってる……けど、マヨネーズついてないんだもん」
確かに、マヨネーズは付いてない。
「でも駄目よ、食べなさい」
「……やだ」
珍しく強情に、紗優がごねる。
いつもは渋々でも言う事を聞くのに。
英治くんがいるから?
人の前だと我儘が通用するとか、そういう事を思ってるの?