契約恋愛~思い出に溺れて~
ぜんぶ食べ終えた紗優は、満足そうにジュースを飲んで、おしゃべりを始める。
こんなにしゃべる子だったかな、って思うくらいに。
だけど、時折り目を泳がせながら必死に話題を探す姿を見て、ふと気付いた。
話が終わったら、帰らなきゃいけない事が分かってるんだ。
店員さんが、お皿を下げて行って。
今はフリードリンクのグラスやカップだけが残っている。
紗優はきっと、もっと英治くんと一緒に居たいんだ。
「そろそろ、行こうか?」
英治くんの言葉に、紗優が一瞬暗い顔になる。
彼はその様子を察したのか、私の方に顔を向けると、何食わぬ顔で言った。
「せっかく車だから運転手しようか? 買い物とかないの?」
「そ、そうね。うん。お願いしようかな」