契約恋愛~思い出に溺れて~
「うん、でも、さむいよ。ママ、かえろ?」
「……そう、ね」
そう言って差し出された紗優の手が冷たかったから、その言葉に従おうと思った。
そうだ。
ここにもユウはいる。
紗優の中に、ユウの血がちゃんと残ってる。
心配そうに見つめる紗優のほっぺは赤い。
寒さからだろう。
気がつけば、結構長い時間外に居る。
「ごめん。……帰ろう、ね」
「うん」
帰る場所。
それは私にとって、ユウのいるところだった。
ユウを失って、行き場のない感情をいつも持て余して。
達雄にすがってなんとか保っていた。
今は、どうすればいいのか分からない。
でも、紗優まで巻き込んじゃ駄目だ。
一つくしゃみをした紗優の襟元を直してやって、私たちは帰路についた。