契約恋愛~思い出に溺れて~
そして金曜日、私は取引先との打ち合わせで外に出ていた。
相手先を後にしたのが18時。
会社に連絡を入れて、取り急ぎの仕事が無いか確認すると、今日は特になさそうだった。
会社には戻らず、そのまま帰宅する事を告げ、電話を切る。
溜息を一つついて、地下鉄に乗り込んだ。
今からなら、紗優がご飯を食べてる間に帰れるかも。
そう思うと、自然に駆け足になる。
いつもは闇に落ちている住宅街にたくさん灯りがともっている。
時々漏れ聞こえる子供の笑い声に、「団らん」という言葉が胸に突き刺さってきた。
紗優といつも一緒にご飯を食べてあげられないのが申し訳ない。
仕事が忙しい。
それは本当の事だけど、子供の視点から見たらただのいい訳でしかないはずだ。
反省しながら自分の家の玄関に入る。
すると、声を荒げた母の声が聞こえてきた。