契約恋愛~思い出に溺れて~
達雄の家は、最寄りの駅から車で10分くらいの閑静な住宅地にある。
前に来た時は夜だったからあまり分からなかったけど、
どの家も少し古めかしくて、どちらかと言えば年配の方が多く住んでいるように見えた。
子供の自転車とかそういうものが置いてある家はあまりなく、どの家も庭木が綺麗に整えられている。
達雄の家は、二階建てのこじんまりとした家で、前庭にはシルバーのセダンが停まっていた。
「ここが、おじちゃんのいえ?」
紗優が不思議そうに見上げる。
「ちょっとだけ、お利口にしていてね?」
私の声に、少し不安そうな顔をする。
インターホンを鳴らすと、すぐに達雄が出てきた。
久しぶりに見た彼は、少し疲れているような顔をしていた。
目がくぼんで顔色が悪い。
そして、驚いたように紗優の顔をまじまじと見た。
「……紗優ちゃん?」
「こんにちは、達雄。紗優、ほら挨拶」
「おじちゃんちじゃ、ないんだ……」
紗優はあからさまにがっくりとしたけど、私に片腕をこづかれると、「こんにちは」とあいさつする。