契約恋愛~思い出に溺れて~
時間はあっという間に過ぎる。
夕暮れが迫ってきて、私の口数はどんどん少なくなっていく。
もうちょっと一緒にいたい。
キスをしたり、抱きしめあったりしたい。
そんな欲さえでてきて、迂闊に口を開けられない。
「ご飯食べて帰ろうか」
英治くんがそう言うと、紗優が歓声を上げる。
一人うかない顔をした私に気づいて、英治くんが顔を寄せる。
「どうした?」
「や、何でもない」
「ホント?」
私の頭に手を乗せて、髪をくしゃくしゃっとしながら、にやりと笑う。
きっと私の考えなんて、読まれているのに違いない。
「俺、最近外食続きでさ」
「え?」
「なんか胃にいいもんが食べたいな」
意味ありげな視線で、紗優の手をつなぎながらにこにこと笑う。