契約恋愛~思い出に溺れて~

その後他愛のない話をして、電話は切れた。

寂しさを払しょくする事ができなくて、体温を求めて紗優の隣に滑り込む。


「うーん」


冷たい空気が入ったのか、一声うめいて寝がえりを打つ。


「一緒にいたいのにな……」


ポツリと一言呟く。

心の中から、その感情ごと吐き出せてしまえばいいのに、出てくるのは言葉だけだ。


不安?

そういう訳じゃない。

ただ、一人の頃と違って自由が利かない。

深夜とか関係なしに彼の傍に行けないから、もどかしくなる。


まだキスしかしてないっていうのも、あるかも。

体を重ねるだけが愛じゃないけど、この年の恋愛ではそれは切り離せない事で。

確かに気持ちは通じ合っているのに、それが確信に変わらない。


「……綾乃ちゃん、どこに行っちゃったんだろう」


一人きりで家を出れるような、そんな強そうな子には見えなかった。
どれだけの決意で、そんな行動に踏み切ったんだろう。


「達雄のバカ」


八つ当たりにも似た言葉を、一声投げ出して。
無理にでも眠ろうと、私は瞼を閉じた。

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