契約恋愛~思い出に溺れて~
「紗彩」
食べ終わって片付けをしているとき、彼が台所に来て名前を呼んだ。
二人の時だけ呼び捨てにされるのが何だかくすぐったい。
「何? 紗優は?」
「テレビ見てるよ」
「そっか。手伝いならいいわよ。もうすぐ終わる」
「そう」
頷いた割には近づいてきて、私の頭に頬を寄せる。
「英治くん重いよ」
「……今度連絡取るから」
「え?」
「母親に。やっぱり一緒に来てほしい」
「いいわよ。行く。連休中でしょう?」
「うん……」
そう言いながら、中々離れたがらない英治くんは、やっぱりどこか不安なんだろうか。