契約恋愛~思い出に溺れて~
構内に、新幹線が滑り込んでくる。
髪が揺れて、頬につく。
結んで来ればよかったと思っていると、いつの間にか隣に彼が戻ってきて、風よけになってくれる。
「……ありがと」
「どういたしまして?」
顔を見合わせていると、間に入ってくるのは紗優。
「しんかんせん、すごーい!!」
「紗優、初めてだもんね」
「3人掛けの席をとってあるから、紗優ちゃん窓際にする?」
「うん!!」
ご機嫌な紗優を乗せて、新幹線は走り出す。
車内販売が来るたびに、紗優は色んなものを欲しがって。
すぐに買おうとする英治くんを、私がたしなめる。
そんな事を続けているうちに、京都まで辿りついた。