契約恋愛~思い出に溺れて~
「迎えに来るの?」
「うん。赤いノートを目印に持ってるって」
苦笑いをして、英治くんが言う。
「別れたのは3才の時だ。俺が覚えてる訳ないし、あっちも分からないだろ。……もう、35年も前だ」
「英治くん」
実の親。
でも、離れてしまえば分からない。
その事実が、少し悲しく思える。
「紗優はどうする? 一緒にいない方がいいなら、私どこかに連れて行くけど」
「イヤ、いいよ。一緒にいて」
そう言って、彼は私の手を握った。
紗優がそれを目ざとく見つけて、自分も、と必死に訴える。