契約恋愛~思い出に溺れて~
私は一度大きく息を吸って、彼の肩をポンと叩いた。
「大丈夫」
「紗彩ちゃん」
すがるような眼差しが細められる。
「言いたい事を言えばいいよ。親なんだから……分かってる」
私が彼の母親なら、きっと罪悪感で一杯だろう。
なじられて当然と、そう思っていると思う。
それでも会いたい。
謝罪したい。
そして、姿が見たい。
だって自分が産んだ子供だもの。
きっとずっと心の隅で、心配していたろうと思うから。
「英治くんは、自分の気持ちを言えばいいだけだよ」
「紗彩」
私の眼差しを、しっかりと受け止めて。
彼は、弱々しく笑って立ち上がった。
「……うん」