契約恋愛~思い出に溺れて~
「じゃあ、これ使ってくれ」
「え?」
差し出されたのは厚みのある封筒で、中には20万円入っていた。
「少しだけど、ご祝儀だと思って。式の費用には全然足りないだろうが」
「や、大丈夫です。そんな」
「いいよ、親父。俺もう、負けないくらい稼いでるんだぜ」
「頼むから受け取ってくれ。私はこれしかやり方が分からんのだ」
「親父」
英治くんは一瞬詰まって私を見る。
そして苦笑すると、丁寧に封筒を反対向きにして、父親に渡した。
「気持ちだけもらっとく。
俺がもう一人前だってとこ、親父に見せたいからな。
結婚するんだ。父親にもなる。
だからもう、気持ちだけでいいんだ」