契約恋愛~思い出に溺れて~


 そして翌朝、案の定、目覚めた紗優が眉をひそめている。


「ママ、夜、おさけのんだでしょ」

「うん」

「だしっぱなし。サユにはダメって言うのに!」

「はい。ごめん」

「おとうさんにいっちゃうよ」

「やー、言わないで! 紗優!!」


プイと横を向く紗優に、抱きついてお願いすると、
嬉しそうに笑って「しょうがないなぁ」なんて言う。

小学生になってからすっかり言葉が達者になった。

英治くんはそれが楽しいらしくて、最近は紗優目当てに電話してくることの方が多いくらいだ。


「ママ、今日おそいんでしょ? 
サユねぇ、おとうさんと約束したから、今日夜一緒におでかけするね」

「なにそれ。きいてないわよ」

「いってないもーん」


嬉しそうに先に階下へと降りる紗優を、慌てて追いかけた。


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