契約恋愛~思い出に溺れて~
「もう遅いから。なぁ、仕事ずっと遅いのか?」
「今週はちょっと早く帰れそうにないわ。土曜も夕方までは出勤になりそうなの」
「そうか。じゃあ、土曜はサユを連れ出していい? 誕生日だろ」
「そうだった! 紗優の誕生日」
ケーキの予約もしてない。
プレゼントもまだ見つけてない。
忙しいとはいえ、娘の誕生日の事を忘れているなんて、自分でもショックだ。
「土曜の夜にゆっくりお祝いしよう?」
「うん」
その日、どこか固いままだった彼の声が、気になったけれど。
問い詰めるほどの時間がなくて、電話を切ってすぐ、疲れに任せて眠りについた。