契約恋愛~思い出に溺れて~
少し俯いているから、長いまつげがよく見える。
どうしてちゃんとこっちを向いてくれないの?
どんどん湧き上がる不安が、とても居心地を悪くする。
「なに?」
「紗彩、サユがおかしいの、気づいてたか?」
「え?」
ゆっくり彼の視線が私を捕える。
まるで金縛りにでもあったように、ピクリとも動けなくなる。
「おかしいって?」
「学童で、うまくいってない子がいるらしい。鉛筆を隠されたりとか、小さな嫌がらせを受けたりしてるみたいだ」
「そんなの」
聞いてない。
確かに最初は戸惑っているようだったけど、そこまで嫌がる素振りは見せていなかったのに。