契約恋愛~思い出に溺れて~
「紗彩、最近仕事忙しいんだろ?」
「う、うん」
「サユはそれが分かってるから、言えなかったんだ」
「……」
ベッドに視線を向けると、いつもと変わらない寝顔の紗優がみえる。
最近、ちゃんと見ているのはこの寝顔だけだ。
だけど、寝顔で何もかもを察することは出来ない。
言ってくれれば良かったのに。
そう思うけど、言えるタイミングがあったとも思えない。
朝は慌ただしいまま家を出て、帰ってこればもう寝ている。
紗優が私に、何かを相談する時間なんてなかった。
モヤモヤと嫉妬の混じった感情が、どんどん広がってくる。
英治くんだって、紗優と会う時間がそんなにある訳じゃない。
なのに、どうして彼は紗優の悩みを知っているんだろう。