契約恋愛~思い出に溺れて~
「私に、……仕事やめろって言うの?」
仕事は、ユウを失う前から私の支えだった。
まだ男性が多い職種。
その中で今のポジションを得るまでには、それなりの苦労もあった。
結婚しても辞めずに仕事を続けた。その自負もある。
私の顔がこわばっているのは、向かい合う彼の表情を見ればわかる。
痛いものを見るようなその視線が、ものすごく悲しい。
「やめろとは言わない。せめて定時できっちり帰れるように調整して欲しい」
「そんなの、無理よ。私、管理職なのよ?」
「だから」
一瞬の沈黙。
彼が何と続けようとしているかなんて
聞かなくても分かる。
「希望降格して欲しいんだ」
「そんなの」
「サユが子供なのは今だけだ。
今ちゃんと向き合ってやらなきゃ、後から後悔したって遅い」
「……」
ギュッと、唇をかみしめる。
それを見てか、彼が一つ溜息をついた。