契約恋愛~思い出に溺れて~
「それが元で振られたら大変だよ?」
「でも、紗優の父親はユウです。
彼は紗優に『おとうさん』にしてくれって言ってくれました。『パパ』の呼び方は奪わないって。
そういう風に考えてくれる人なんです。だから」
「ホントにねぇ。優はバカだよ。
こんなお嫁さんや子供置いて死ぬなんて、……ろくでなしだよ」
「お義母さん」
「ごめんね。あんた達を幸せにできる甲斐性もないような息子で」
「そんなことないです、お義母さん。素敵な人です。私、本当に彼のこと、大好きだったんです。
紗優だって、ユウが愛情を一杯かけてくれたから、こんな風に素直に育ってくれたんです」
「本当にごめんね……」
ハンカチを出して、口元を押さえるお義母さんは、とても小さく見える。
ユウを失った時、私は自分の悲しみで手一杯で、お義母さんの気持ちを考えてあげれなかったけど。
きっと辛かったろう。
自分のお腹から生まれてきた子供が、自分より先に死んでしまうなんて、考えたくもない。