契約恋愛~思い出に溺れて~
「……あなたに会いたくなった」
私の声に、彼は小さく笑う。
『じゃあ、会ってからゆっくり聞くよ』
そう言って彼は、素早く待ち合わせ場所を決め、
私たちはそこに行くために電車へと向かう。
会ったら何しようかって、電車の中でずっと紗優と話してた。
ユウを失って、丸五年。
彼を思い出に変えれるまでの期間は、長かったのか、短かったのか分からない。
だけど、車窓からの景色を見ていたら、こんな風だったんだなと思った。
時に軽快なスピードで、時にゆっくりと慎重に。
その時に必要な速度で流れていくんだろう。
そうしていつかは降り立つ駅に止まる。
待っていてくれる人がいる場所へ。
「紗彩、サユ!」
改札口で笑顔を見せるのは、これからを一緒に歩いてくれる人。