契約恋愛~思い出に溺れて~
「あ、おとうさーん!!」
紗優が先に駆け出して、私は荷物を抱えて後から追いかける。
紗優を抱きしめたまま、彼がこちらに向ける眼差しは慎重だ。
心配してたのかしら。
そう思って笑うと、彼もつられたように笑った。
「ただいま」
「お帰り」
改札をくぐって彼のもとに辿りつく。
近くで見た彼の胸ポケットには、一枚の書類が折りたたまれて入っていた。
「英治くん、これ」
「約束だったろ。婚姻届、とってきた」
「うん」
「これなあにー?」
不思議そうに、紗優が覗きこんでくる。