契約恋愛~思い出に溺れて~

 そうして九月半ば。

リフォームの終えたマンションに引っ越しをし、

三人で役所に行き、手続きを済ませて。

私たちは、本当の家族になった。


「はやまさゆ、です」


新しく出来た自分の部屋で、

自分の名前を何度も練習する紗優がおかしくて、

ドアの傍で二人でずっと聞き耳をたてた。


その日は、手作りのごちそうを一杯つくって、終わったら皆で片づけて。

お風呂の順番待ちをしたり、ダンボールの中から学校で必要な道具を慌てて探したり。

慌ただしく過ぎて行ったけど、何だかとっても楽しかった。


「明日は少し違う通学路ね」

「うん。登校班も変わるから。でもりーちゃんと一緒だから大丈夫」


実家から少し離れるため、集団登校の班も変わる。
たまたま同じクラスの子がいたから良かった。

< 518 / 544 >

この作品をシェア

pagetop