契約恋愛~思い出に溺れて~
「え?」
「ちょっとびっくりした」
「どうして?」
「もっかい言って」
「なにを?」
「さっきの」
私、なんて言ったっけ。
彼の動きにばかり意識がいってて、自分が何言ってたかなんて覚えてない。
一通り思い返してみて、ようやく思い当たる。
「あ、あなた?」
その途端、力が抜けたように彼が私に覆いかぶさる。
耳の近くにある彼の唇から、熱い吐息と共に漏れ出るのは小さな声。
「……参ったな」
「英治くん」
「愛してるよ」