契約恋愛~思い出に溺れて~
「横山さん、すいません、出来ました」
青柳君の声に正気に戻る。
そうだ。ここはオフィス。
余計な感情を持ち込むところじゃない。
「分かったわ。見せて」
笑顔でそう言って、私はもう一度仕様書を確認した。
青柳君にOKサインをだして、残った書類を片づける。
その後はメールを二通送信する。
一つは母の携帯。
【紗優はもう寝ましたか? 同僚の相談に乗るので遅くなります】
若干嘘の入ったメールだ。
もう一通は達雄。
【もうじき終わるわよ】
こちらはすぐに返事が来る。
【会社前にいる】
私はカバンに荷物を詰め込んで、オフィスを後にした。