契約恋愛~思い出に溺れて~
「紗彩、ついたよ」
肩を揺り動かされて、意識が戻ってきた。
辺りを見渡すと、駅の近くにあるコインパークのようだ。
「歩けるか?」
「うん」
促されて車から降りる。
何だかまだ夢から覚めきらないみたいでボーっとする。
フラフラと歩いて行くと、やがて小さな看板が見える。
ためらいもなく扉を開けると、奥からオーナーの声がした。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは」
「こちらでよろしいですか?」
彼は私たちを奥の席へと誘導した。今日はカウンターがすでに一杯のようだ。
「達雄何飲む?」
「俺は車だからウーロン茶で。紗彩はなんか飲めば」
「そうね」
「じゃあジントニックとウーロン茶ね」
「かしこまりました」
私の声に、オーナーはにこりと笑って戻って行った。